Nest Table 時を重ねた機能美

Nest Table 時を重ねた機能美

ネストテーブルはそのスマートな収納性と多様な使い方で、現代の住空間にもフィットする家具です。camoriでも種類豊富に取り扱いのあるネストテーブル、その歴史と魅力をご紹介します。

形も使い方もいろいろ。

起源と発展:18世紀から現代へ

最初のネストテーブル

ネストテーブルは家具の歴史においては比較的新しい発明です。
新しいと言っても1803年、イギリスの著名な家具職人トーマス・シェラトンが出版した『The Cabinet Dictionary』で「Quartetto(カルテット)」と名付けられた4つのテーブルセットの図面を発表したことが正式な記録として残っています。シェラトンはこのデザインを「互いに引き出せるように作られた一種の小さな作業台で、別々に使用することができ、不要なときは再び互いに収納できる」と説明しました。

サイズ違いのテーブルを引き出すだけ。収納も簡単です。

しかし、スミソニアン・デザイン博物館クーパー・ヒューイットのキュレーター、サラ・コフィン氏によれば、シェラトンは既に存在していたデザインを単に体系化しただけであり、実際のネストテーブルの起源は1740年代まで遡る可能性があるとされています。

材質とデザインの変遷

最初のネストテーブルはマホガニーやサテンウッドで製作されました。
18世紀の家具製作においてマホガニー材が人気を博した理由の一つには、1721年にアメリカ産材木の輸入関税が引き下げられたことがあります。1730年代には、マホガニー材がクルミ材を抜いて高級家具の材料として主流となりました。

脚の意匠などが特徴的なクラシックなデザインのネストテーブル。

時代が進むにつれ、中国風の漆や張り子などの素材も取り入れられるようになり、シェラトンのデザインは中国でも模倣され、金箔や漆塗りのネストテーブルが西洋市場向けに大量生産されるようになりました。

モダンデザインへの進化

ネストテーブルの概念は20世紀に入っても発展を続け、特に1920年代半ばにはバウハウスのデザイナーであるヨーゼフ・アルバースとチェスカチェアなどで知られるマルセル・ブロイヤーが、日常的な機能性とシンプルなフォルムを融合させたネストテーブルを発表し、モダンデザインのアイコンとなりました。

社会的背景と使用方法

18世紀の生活様式との関係

18世紀のヨーロッパでは、家具の配置に対する考え方が現代とは異なっていました。
人々はお茶を飲んだり、針仕事をしたり、チェッカーゲームをするために家具を配置し、使用後は壁際に戻すのが一般的でした。部屋の中央に家具を置いたままにすることは「雑然としている」あるいは「カジュアルすぎる」と見なされていたのです。

現代ではキャスターがついたタイプも。

興味深いことに、ヨーロッパの多くの言語では「家具」を意味する単語(フランス語の「meuble」やドイツ語の「möbel」など)は「移動する」という概念に由来しています。これは当時の家具が固定されたものではなく、必要に応じて動かすものであったことを示しています。

ネストテーブルが特に重宝されたのは、その多機能性と空間効率の良さでした。

  • ティータイム:小さなテーブルを椅子の近くに配置し、お茶や軽食を楽しむ
  • ゲームテーブル:トランプやボードゲームを楽しむ専用スペース
  • 作業台:針仕事や小さな作業をするためのスペース
  • 来客時の臨時テーブル:急な来客があった際に追加のテーブルとして使用
小ぶりでも、ものを置ける面が多く用途に合わせて配置できます。

18世紀の館は現代ほど明るくなかったため、読書などよりもトランプ遊びなどのゲームが主要な社交活動となり、専用のテーブルが重要視されていました。トランプは特に上流社会において必須のスキルとされていたのです。

現代のインテリアにおけるネストテーブル

現代の住空間において、ネストテーブルはその歴史的背景を超えて、機能性とデザイン性を兼ね備えた家具として愛されています。

  • スペース効率:限られた空間を最大限に活用できる
  • 多目的性:リビングルームでのコーヒーテーブルから、臨時の作業スペースまで多様な用途に対応
  • デザインの多様性:クラシックなウッドデザインからモダンなガラスやメタルまで、あらゆるインテリアスタイルに適合する豊富なバリエーション
飾り棚兼作業スペースとしても。

camoriで取り扱うネストテーブルは、このような豊かな歴史と実用性を備えた逸品ばかりです。シンプルでありながらも機能的なこの家具は、300年近い歴史を経て、現代の生活においても不可欠な存在であり続けています。
ぜひ、歴史と機能性が融合したネストテーブルをお部屋に取り入れてみてください。

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