コレクション: ヴィトラ Vitra

ヴィトラ(Vitra)社は1950年、ウィリー・フェールバウムがスイスで店舗用什器を専門に製造する会社として創業しました。創業後まもなくして、ヴィトラ社に転機が訪れます。フェールバウムがアメリカ旅行中に、ショーウィンドウに飾られたイームズの美しいプライウッドチェアを見たことを契機に、家具メーカーへの転身を決意します。1957年、イームズ夫妻からヨーロッパでのプライウッドチェアや家具の製造販売権を取得。ヴィトラ社は本格的な家具の生産をスタートします。そして、ジョージ・ネルソン、マリオ・ベリーニ、ジャン・プルーヴェ、ジャスパー・モリソンなど世界的なデザイナーとのコラボレートにより名作家具を数多く生み出していきました。1967年には、ヴァーナー・パントンと共に4年にも渡る独自の開発により、世界初の一体成型チェア、パントンチェアの生産を開始。今やデザイン界の傑作と称され、ニューヨーク近代美術館(MoMA)の永久コレクションにもなっています。1977年にウィリーの二人の息子ロルフとレイモンドが同社の経営を引き継ぎます。その4年後、ヴィトラの工場が大火災で消失します。壊滅的な火災の直後、CEOのロルフはイギリスの建築家ニコラス・グリムショウにその設計を依頼し、僅か半年で工場を再建します。工期短縮に用いた同じプレハブ金属構造を持つ第2の生産ホールが、83年に続いて竣工。このことが「世界の建築ミュージアム」と言われる後のヴィトラ・キャンパスへのきっかけとなり、その後、フランク・ゲーリー、バックミンスター・フラー、安藤忠雄、ジャン・プルーヴェら世界的な建築家の手によるオフィス・工場・ミュージアム・パビリオンが並ぶ広大な建築ミュージアムとなっていきました。現在、ヴィトラ・キャンパスでは、家具の製造の他に、ショップ空間やオフィス環境のサポート、公共機関のインテリアの提案をしたり、名作家具や国際的な建築家による建物の研究などを行っています。探究心溢れる創業者とその息子たちにより、ヴィトラは世界のインテリア界をリードし続けています。